掲載後、様々なご反響をいただきましたみーの!2017年5月号 の巻頭記事 全文をご紹介いたします♪
子どもの意志を尊重一人ひとりにペースがある
アップテンポの音楽が流れ、先生のダンスを真似て元気よく踊りだす...
と思いきや、あれあれ?座ってじーっと先生を見ている子や、まったく別の動きをしている子がちらほら。
実はこれ、ここではごくあたりまえの風景。 一人ひとりの個性を尊重しながら、大人は全力で見守る。
それが『楽笑音楽広場』のルールだ。
そうすると、最初は何もしたがらなかった子が、1カ月後くらいにふいに動き始めることがあるそうだ。
「子どもはそれぞれに意志があるから、ここでは一人ひとりのペースを大切にしています。 最初は積極的に動けない子だって、周りを見ているし、ずっと吸収しているんです」と話すのは主宰者の楽ようこさん。
『楽笑音楽広場』 では、 乳児期から歌やダンス、創作活動などを行う
「子育て支援ひろば『おやこリズムたいそう』 」と、3歳から専門講師のもとで本格的な表現の基礎を学べる
「子どもの創作音楽劇団『わぉ!』 」という2種類の教室を開き、 成長過程に合わせたカリキュラムで、
子ども達の表現力、 創造力、 コミュニケーション能力を伸ばすための活動を行っている。
この広場に通い始めて、それまでうまく表現できなかった子が積極的にしゃべりだしたり、
緊張してお母さんから離れなかった子が、 年下の子の面倒を見てあげるようになったり。
ここでの経験を通して驚くほど成長していく子もいるのだそうだ「成長の瞬間を見られることが本当に嬉しい!」と
楽さんは笑顔で語る。
こうしなさい!は一切ナシ子どもの感覚を最優先
『楽笑音楽広場』の取り組みで一貫しているのは「こうしなければならない」が一切ないということ。
「大人の感覚ではどうしても、美しいものを目指してしまうんですよね。 そうではなくて、大事にしてあげたいのは
子ども達自身の自由な発想。 子どもが 『こんなんしたい!』 と言い出したら 『それおもしろいやん!』 と、
活動の幅も楽しみ方もどんどん膨らんでいくんですよ!」 (楽さん)。
劇団と聞けば、台本があって、配役を決められて、という流れを想像しがちだが、 『わぉ!』には大人が準備した台本や
配役などは一つもない。 台本・音楽・道具のすべてを子ども達が創作しているのだ。
自分の希望で音楽隊、 道具隊、 役者隊のどこにでも入ることができ、自分で決めたことをやり遂げる。
そうやって全員で一つの劇をつくり上げる過程で、自分の意見を言ったり、人の意見を聞いたりしながら、 自己表現力を高め、 他者への理解を深めていくのだという。
「自分で考えて動く」そんな子ども達を育てたい
「世の中に便利なものがどんどん増えていたり、保護者がすぐに助けてしまったり、
そういうことが、実は子ども達によくない影響を与えることもあるんじゃないかと感じていました。
『みんな、もっと自分で考えて動けるはず!』と思ったのが立ち上げのきっかけなんです」。
楽さんは、以前小学校に教員として勤めていた時に、子ども達の表現力やコミュニケーション能力が年々衰えているのを
感じていたそうだ。 能力をめいっぱい伸ばしてあげる場所を作りたい、そんな想いで始めたのが『楽笑音楽広場』 。
「自分の子どもが周りと同じ動きをしないと、親はどうしても心配になってしまって無理矢理やらせようとする。
そこを我慢させるのが大変(笑)!だから広場では親御さんに、 『放っておいて~!手を出さないで~!』 と
言うことも多いですね。 子どもは人形じゃない。 だから大人のものさしで測らず、 もっと自由に、個性を伸ばしてあげたい」 と、熱い想いを語ってくれた。
『楽笑音楽広場』 ではいつだって、楽さんと子ども達がのびのびと走り回っている。
そんな姿を目の当たりにすると、 凝り固まってしまった大人の心もおおらかになるかもしれない。
子どもはもちろん大人も気付くことがある場所
やわらかな身振り手振りで、ワハハっと大きく笑う。
子ども達にとっては友達のよう、お母さん達にとっては強い味方。
楽さんと話をしているとそんな印象を受けた。
子育てをしているとと視野が狭まって、自分の子どものことが理解できなくなるときがあります。
ここで他のお子さんを見て気付くことや、安心できることもあるはず。
地域みんなで子どもたちに関わっていく、そんな場所にここがなれれば」 と楽さん。
学校でもない、 家でもない、 そんな居場所が、子どもにとっても大人にとっても
気付きの多い場所にきっとなるはずだ。
みーの!さん、掲載ありがとうございました!