ワークショップが終了いたしました。
今回もたくさんの皆様にご参加いただき、うれしく思っています。
はじめて、劇づくりワークショップに参加してくれる子どもたち。
緊張した面持ちで、お母さんお父さんの手を離し、みんなのところへ。
はじめて出逢う仲間をじろじろ。
そして、バタバタ忙しそうに歩きまわる、子どもスタッフを見ながら、何がはじまるのだろう!?とドキドキしていたのでは、と思います。
今回ワークショップの参加者をサポートするのは、大人ではなく、2年生から6年生の”劇団わぉ!”のメンバー。
劇団を立ち上げて12年。劇団の活動を通して、わぉ!の子どもたちの、全体を視る力、活動を進めていく力、そして、目の前の相手に寄り添い一緒に考える力がついたため、全体の演出以外は、目標としていた『子どもだけのワークショップ』を行うことにしました。
子どもの世界をつくるには、大人が関わらないことが一番です。
『はやく、見た目よく』ではなく、『ゆっくり、子どものペースで子どもたちでできること』。
これこそ、子どもの世界がリアルに表現された作品が完成するのです。
途中、問題や、突然出てくる課題もありましたが、ひとつひとつ子どもたちで、解決していきました。
造形を希望する子どもたちは、背景を描いたり、廃材や粘土、段ボールから、道具をつくったり。
音楽を希望する子どもたちは、いろんな楽器から、効果音をつくったり、音楽に合わせて楽器を演奏したり。
そして役者を希望する子どもたち。
恥ずかしさと、身体で表現するという、なかなか経験のないことに、身体がかたまってしまう子もいましたが、劇づくり経験のあるわぉ!の子どもたちの声かけや、表現することを楽しむ姿につられ、「なんだか楽しそう」と、少しずつ柔らかくなっていきました。
今回一番小さかった2歳の女の子は、視界に入る興味のあるものへ、ぶら~りぶら~り。
グループのリーダーは「え!○○ちゃん、どこいった!!」と、何度か焦っている様子でしたが、時間がたつにつれ、探しているリーダーの様子に周りが気づき「いま、こっちにいるよ!」「○○ちゃんそろそろ戻る?」と、いつの間にか他のグループから声かけが始まり、グループの輪に戻ってくるようになりました。
はじめて参加した子どもたちも、ゆっくり進めていく子どもたちの中で、「ここはなんだか安心できる場所」と感じてくれたのではないでしょうか。
初めての場所に涙を流していた子どももいましたが、一日目が終わった後に「子どもがあそこの場所にまたいきたいと言っているので、二日目も伺います」と、お母さんからメールをいただきました。
そして、本番。
2日間でつくる劇なので、役者・音楽・道具、全体の通し練習はリハーサルの1回だけ。
しかし、それぞれが、自分の役割をしっかり把握できていて、「え?もう本番!」という声より、むしろ、「早くやりたい!」「楽しみ!」の声の方が聴かれました。
本番は、いつも通り、予期せぬハプニング満載でしたが、客席からはわかりません。わぉ!メンバーだけでなく、参加した子どもたちが、お互いを感じながら、連携をとり、何事もなかったかのように進行していきました。
毎回感じるのですが、本番の対応力は、大人よりも柔軟な頭と心をもつ子どもたちの方が、ずっとあるのだろうなぁと。
今回は、半分以上が、はじめてのメンバーでしたが、『お互いを感じあい動くことができる』、これは、経験だけでなく、その場を提供する人(子ども)が同じ思いを持っていれば、すぐにできるのだということ。
そして、子どもの世界において、それは子どもにしかできないのだということを、改めて感じました。
子どもたちの可能性を信じ、見守ること。そして、いまの子どもを感じ、課題を見つけ、次のよりよい場を提供すること。
これが、大人の大きな役割なのだと、今回も改めて思いました。
また来年、同じ場を子どもたちに提供できるように、大人も日々チャレンジしていきたいと思っています。
用意された船に乗るのではなく、自らつくった船に乗る経験は、子どもたちの将来に確実に役に立つと考えています。
将来この社会で、いかに自分らしく、楽しく生きていけるか。
そのための環境は自分でつくっていくのだと気づいてもらえるといいなぁと思っています。