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講師インタビュー第2弾☆のりりん

先日のみっちーの講師インタビューに引き続き、「わぉ!子どものお城」にて、子どもの創作音楽劇団「わぉ!」の音楽表現ひろば・ATCクリスマス子どもミュージカルの音楽隊担当の、のりりん こと松島祝子と、代表 楽ようこの対談型式でインタビューを行いました!

お勤め先を辞めて「わぉ!」の講師に来て下さった のりりん。その想いに迫りました。


3年目、ようやく "楽"になってきた!?

のりりんが、「わぉ!」に来てくれて、3年ですか?4年ですか?

 

松島 3年目ですね、今度の3月の発表会が3回目です。

 

35年間、府内の支援学校で働いていて定年前に「辞めようかなーどうしようかなー」って考えていたところに、夏休み中の8月にオルフの研修会で楽ちゃんと会って、「辞めてうちに来て下さいよ!」と言われて決心が付いて8月末に学校に「年度末の3月で辞めます。」って言ってん。

 

  今年(2017年度)は学校行ってないんですか?

 

松島 2年間は非常勤で行っていましたが、今年、2017年の4月からは行ってないです。音楽にずっと関わっていられる仕事をしたいと思って退職して・・・いまはずっと音楽に携わられているから幸せですね。

 

  それはよかったです。ありがとうございます。

のりりんには月に1回の音楽表現ひろばを担当してもらっていますが、どうですか?

 

松島 1年目よりも2年目、2年目よりも3年目のほうがだんだん慣れて来て気負わずに臨めるようになってきています。

ただ土曜日って振替が多くて、人数も多かったり、少なかったりなんですよね。

 

  そっか、土曜日は幼稚園や学校の行事やらで振替が一番多いですもんね。

 

松島  お休みの連絡が当日来たりするので、最初の頃は、「今日数人やん!どうしよう!今日の講座!」と不安に思うことも正直あったけど、もう最近は慣れましたね(笑)

 

  柔軟に対応して頂ているということですね。ありがたいです。


「わぉ!」の講師は難しい!見守ること・教えていくことのバランス

「わぉ!」の講座はどうですか?

講師の立場からすると、結構「わぉ!」の授業はむずかしいって・・・・よく言われるんです。

 

松島 私の周りでもよく聞きます (笑)

異年齢の良さもあるけれど、教える側としてはどこに焦点を当てるっていうのが難しいなって思います。

 

私が長年オルフの音楽教育を学んでいるんですが、オルフでは「出来る人も出来ない人もみんな一緒にやる」、「苦手な人も居れば得意な人も居る」、「色んな人が居て、間違いはないんだよ」という考えなんですね。それに加えて長い間特別支援学校で働いていて、いろいろな子が居たので、「わぉ!」のような異年齢であってもなんとかいけるかもな、っていう気がして引き受けたんです。

 

でも、何が難しいってね『見守ること』と、『教えていくこと』のバランスかな。

どの段階で、子どもたちにポンって渡して良いか迷うときがあって、子どもが「えー。いっこもわからへん・・・」というとやはり渡し方が悪かったな、とか思うよね。

どうやって渡したらわかりやすい、っていうのは子どもからの返しでわかるからとても勉強になっています。

 

  そう。「見守る」より「教え込む」方が、講師の側にとっては簡単なんですよね。

 

松島 教え込むというよりは、「こんなおもしろい方法もあるよ」っていうのを伝えたいなって思うから、そのさじ加減が難しいなって思います。

 

  なるほどー。

私がいつもやっているのは、進めていくためのヒントを段階に分けて提示します。

まずは第一ヒント。そのときのメンバーにもよるので、それで理解出来ていないなってなったら次、それでも進まへんと感じたらその次に行くか、又別の方法を考えるかというようなことをしていますね。その時の子どもたちの砕き具合にもよるし言っておられるように反応を見ながらの対応しています。

向き合うのは対・講師ではなく、対・自分

松島 4月~11月は、月に1回の音楽表現ひろばで「こんなんやっといて~」って言って子どもたちに渡しているけど、 それが3月の発表会の「劇創り」になったときに直接活かされているのかわからないんだよね。

ひろば でやった事がその子の中にどんだけ残っているのかも含めてね・・・

 

  色んな経験が出来たら良いと思っているので基礎表現の全てがそのまま「劇創り」に繋がらなくても良いと思っています。

毎年、発表会が「今年一年の成果」だとは全く思っていなくて、レベルで話をするとメンバーの経験値や年齢によっては、去年よりも簡単にしなきゃいけないこともあります。

たとえば、音楽隊でいうと去年は合奏を沢山したけれど今年は無理だよね、じゃあどうする?って子どもたちに問いかけます。

合奏が難しいから、他のことをすることになっても、そのことをみんなで一緒にどう取り組んでいくかを上の子たちが考えれればなって思います。 

高さではなく横に広げるというか・・・

 

所謂、一般的な「授業」っていうのは子ども対講師なんですよね。子どもは講師を見てやる、っていう。でも私はそういう「授業」じゃなくてじゃなくて横の繋がりが持てる「授業」が大事だなと思っていて、講師は外から見守っていて、ちょこっと、「こんな遊びもあるで」、とか「こんなやりかたもあるで」、とボールを投げて、それを子どもがどうするかを見守りたいと思っています。

 

どんな講師の方が来られても常に頭に置いておいて頂きたい点というか、”子ども対講師”だけの時間にならないようにして欲しいなって思います。

 

松島 そうですよね。よくわかります。

 

楽  問題にぶつかっても、講師とじゃなくて、自分と向き合って欲しいなって思います。

 


「わぉ!」の特徴 『異年齢でのグループワークが子どもを育てる』

松島 特にグループに分れたときに難しいなって思う時があるんです。

このグループはとっても理解してやってるんだけど、こっちのグループは、「あーしまったな」って言うときがあってね。

グループによって理解の度合いが違うからヒントをあげたりしなくちゃいけないと思うんだけど、

グループ自体が何も進まなくてハテナだらけになっている。で、一ミリも進んでいなくて、何も紙に書いていないそういう時ってどうします?

 

楽  なるほどね。

じゃあそれを進ませようと思ったら、やはり最初のグループ作りの段階がキーポイントになりますよね。

私の場合、子どもにグループ決めをさせるときと、こちらで決めるときがあります。

グループに分けてみても何も進まないってなったら、グループを解体することもあります。

先に自分たちでグループに分けさせてどう考えてもうまくいかなくて、途中で大きい子に、「こういうことをするけど、これを小さい子たちはどうしたら出来るか考えて」みたいに考え直させるという時もあります。

その日の目的が何で、それを達成するためにはどうすればよいかを「わぉ!」に何年もいる子たちには考えてもらいたいって思っています。

 

松島 なるほど。

「見守る」を前提とすると、子どもにグループを決めさせたときに、私がそのグループを変えてしまっても良いのかなって実は少し戸惑うこともあるんです。

 

全体的に見てあきらかにこれは進まないなと思ったら、こっちがフォローを入れなきゃいけないと思うんです。そこは変えて頂いて構いません!

それよりも創っていく過程で「見守る」というところに重きを置いて頂ければと思います。

 

松島 なるほど、そういうことですねー

 

そう言えばこの前の最後の音楽表現ひろばのグループワークがとっても面白く出来たんですよ!

子どもたち、本当すごいなと思いました。フェイスブックの動画、見て頂けました?

 

箕面のグループワークの様子はこちらから

豊中のグループワークの様子はこちらから

 

ホワイトボードにリズムを書いて・・・ってのですよね。

 

松島 はい。各グループ毎に楽器を決めて、リズムを創って、それを16小節の好きなところに当てはめて合奏を創る、というのをやったんですが・・・

 

うんうん。

 

松島 で、いざ合奏してみたら寂しかったので、「追加したいグループの人~?」と聞いたら、

「はいはいっ!」って言って、すごい勢いで。

それで私の方で、「じゃあどこにどのグループの楽器を足す?」って言って聞いていったんです。

そうしたらどんどんソロパートが消えてほぼ合奏になっていったんですが、「そこは足さんといて。ソロパートのままにして欲しい!」って言う子もいたんですよ!

 

  おぉー!それは面白い。

 

松島 あとね、幼稚園と3歳の兄妹が会話していて、それを小学生の子が拾ってくれたんです。それでその会話を歌詞にして合奏と一緒に歌う、ということに発展していったんです。

 

そこなんですよね。視野を広く持てる子は、小さい子のつぶやきも拾ってあげられるんですよね。そこを拾える力が、その子のこれからの人生にも大きく影響していくと思います。

「わぉ!」の子たちはそれが徐々に出来るようになってくるんです。その訓練を毎回しているようなものですから(笑)。

それが「わぉ!」の子どもたちの育ちのひとつだと思うんです。

 

松島 そのキッカケで小さい子の会話を大きい子がどんどん歌詞に入れてくれて、アイディアがどんどん出てきてねーすごいなぁと思ったんです。

 

  子どもたち、成長していっていますね。そういう育ちのすばらしさを伝えていきたいと思っています。

今の親御さんたちは、いろんなものを与えられて育っている世代なので、何か、目に見える物やわかりやすい結果や評価が欲しいという世の中になっているなと強く感じます。

目に見えない分、私たちが見えた子どもの育ちを、しっかりと言葉で伝えていかなきゃと思うんですよね。

 

ATCクリスマス子どもミュージカルの練習の話になりますが、今年は初回の劇づくりから子どもたちだけでどんどん進んでいくんです。

発声やストレッチ、台本づくりから練習まで、自分たちでスケジュールをたてて進んでいくんです。経験者も多く、どんどんやっていきたいという気持ちも強いようで分からないところだけ私に聴きにくるみたいな感じで進んでいきました。

 

松島  一回目の練習の時に役者隊をちょっと見させてもらっていたらリーダー決めをしていたんですよね。

その時に幼稚園の子も、リーダーをやりたいって言っていて、大きい子たちがそうやって小さい子の意見をちゃんと拾って聞いてあげられているのがすごいなって思いました。

小さい子もしっかり自分の意見を言っていて、びっくりして、本当にすごいなって。

 

  そうなんですよ。子どもたちが、誰が手を上げても、「あぁこの子やりたいんや」ってちゃんと気づいて、話を聞いてあげようって思うのが「わぉ!」の子だなって思うんです。

なかなか世の中的にはね、そんな力が付いてないと思うんですよね。「おまえ無理やろ、大きい子だけで決めようぜ」ってなると思うんですよね。

 

異年齢であっても、他のシチュエーションであっても集まった仲間でみんなで創り上げていくっていうことが出来る力を付けていって欲しいと思っています。

学校でも会社でも同じだと思うんですよね。そこを楽しんで欲しい。そういう子どもを育てて言って欲しいと思います。

いつも素晴らしい ひろば をありがとうございます。

 

松島 いやいやでも毎回ドキドキしています。ダメだし出されるんじゃないかってビクビクしてるんですよ。

 

  いやいや・・・もう分かって頂いているので、大丈夫です(笑)

これからもよろしくお願いします。