子どもの創作音楽劇団わぉ!は、2020年度、10回目の発表会となりました。
わぉ!が始まり、10年。
そのわぉ!の主宰をしているのは、楽ちゃん。
劇創作では総監督を務めています。
楽ちゃんは、子どもたちの、背中をそっと後押ししてくれる人。
時に、ドーン!と後押ししてくれる人。
そしてたまにパンダに変身する人。
楽ちゃんの見守りがあり、子どもたちはいろんなことに日々チャレンジして成長を遂げています。
また、ここから、楽ちゃんと子どもたちのワクワクが詰まった10年の始まりが楽しみです♪
楽ちゃんより 発表会終了によせてのコメントです
『10回、劇を観劇して』
なぜ劇?なぜ劇団?
劇は、現実ではない世界に飛び込むことができます。
そして、自分の殻を脱ぎ捨てるきっかけの場になることもあります。
子どもたちには、いろんな世界を体験しながら、たくさんワクワクを感じてほしい。そして、いろんな角度からいろんな人や、いろんなものを見てほしい。いろんなことを経験しながら、いろんなことを感じてほしいと思っています。
わぉ!がスタートして10年。10回、子どもたちと劇を創りました。
そしてその時その時の子どもたちの姿を、じっくり見てきました。
子どもたちが考えていること、子どもたちが生きる社会のこと、子どもたちひとりひとりの成長を感じる瞬間。どれもワクワクすることばかりでした。
子どもたちに魅せられながら、いつも自分と向き合う時間をもらっています。そして、そんな子どもたちの姿に教えられながら、ちっぽけだった私も、少しずつ子どもに近づくことができたかなぁと思っています。まだまだまだまだですが。
10周年を迎え、振り返る機会にはなりましたが、10という数字を私自身はそんなに大きく捉えていません。
今日も朝起きて、子どもたちに会えることにワクワクして、いっしょに、その日の時間を大事に使う。そして毎日ちがう気持ちで一日を終えられることが、ただ、しあわせやなぁと。そう思えることに、まいにち感謝です。
そして子どもたちにも、「生きている」ということを強く感じながら、日々をすごしてほしいなぁと思っています。
さて、今年子どもたちが創った劇は、『子どもだけになってしまった世界』。
子どもたちは、自由に生きたい。
そしてなんでも自分でやってみたい。
いろんなことを任せてほしいし、いろんなことにチャレンジしてみたい。
『子どもだけになってしまった世界』では、そんな子どもたちの「やってみたい」が描かれたストーリーとなりました。
しかし、ストーリーづくりが進むと、結構早い段階で、大人が登場してきました。
「おもいっきりやってみたい。」でも大人がいないことにすぐに不安になる子どももちらほら。
現実に近い内容なので、空想の世界に飛び込みきれないところもあったかとは思いますが、それにしても、子どもたちの大人のつくった世界の中から抜けだすことの不安な気持ちを、強く感じました。
そして、何事もある程度用意されたうえで、失敗しないように、そして失敗してもすぐにフォローしてもらえる、そんな安心感に包まれた中で生活している子どもたちの現状を、あらためて感じました。
台本づくりでも、一線を越えそうな意見は選ばれず、安定感ある意見に大多数の賛成票が集まりました。
「なんとかなるやろう!」とは、なかなかならず、なんとかならないことばかりが頭をよぎる子どもたち。何とも言えない、今の世の中の子どもたちの心の不安さも感じられた今年の劇でした。
そして、情報はたくさんある子どもたちですが、実際の経験はとても少ない。
数少ない経験も、ある程度準備されていたり、サポート体制万全の中での経験だったり。
強く生き抜く力を育てるということは、実はなかなか難しい世の中です。
今年の劇を観ながら、子どもたちには更にいろんな経験をしてほしい気持ちが高まりました。そして思いがけない失敗をたくさんしてほしい!と感じました。
わぉ!の劇づくりは、トライ&エラーの繰り返し。
うまくいかない経験、思った通りに進まないもどかしさ、あきらめなければならないくやしさ。そんな気持ちも経験しながら、それでも前にすすめていく、という強さをはぐくんでいってほしいと思っています。
今後もわぉ!では、子どもたちが自ら考え、動き出さなければならない経験を、たくさんしてもらえるよう、プログラムづくりに尽力し、じっくり見守っていきたいと思っています。
そして、一歩一歩成長していく子どもたちの歩幅に合わせ、講師スタッフ一丸となって、何が今の子どもたちに必要なことなのかを、常に考えていきたいと思っています。
ご家庭でも時々、思いがけないことが起きた時を想像し、我が子はどう動くだろうか?について、考えたり、大人の皆さまで話し合ったりしてみてください。
地震等の災害が起こり、家族と離れてしまったとき、学校でいじめにあったとき、いじめを見たとき、就職して仕事がうまくいかなくなった時、我が子はどんな風に動くことができるのだろう?
どれだけ経験させても、自信がつくことではありませんが、自分でその場の状況を理解し、判断し、動くことができるか。自分を守る方法を考え、動くことができるか。
言葉だけで伝えていても、いざとなったら身体は動きません。
常日頃、小さなことでも自分で判断し動くという経験は、すればするだけ、貯蓄はできます。準備した中で、お母さんやお父さんに守られた中で、大人が手伝いながら、ではなく、できれば、いちから子どもが考え、行動できるような場面をつくってあげることが、さらに生きる力をはぐくむことができます。
「大丈夫」と大人は子どもによく言います。
「大丈夫」という言葉で、子どもを安心させ、次のステップに進ませることもできますが、「大丈夫」だらけは、子どもの成長を妨げるにすぎません。
そして、世の中「大丈夫」でないこともたくさんあります。
何がほんとうに子どものためになるのか。
大人のちょっとした思考と、行動、そしてちょっとした時間をつくることでできることもあります。
これからも一緒に子どもの成長と向き合っていきましょう。
子どもたちがお母さんお父さんのもとを離れたときに、しっかり歩んでいけるように。
そして、私たち大人も、ともに成長していきましょう。